金融機関の融資姿勢と融資状況(中小企業向け)
直近の金融機関の融資状況について、公開されている日本銀行の「主要銀行貸出動向アンケート調査」(2017年1月公表)から考えてみたいと思います。
下記リンクから主要銀行貸出動向アンケート調査の掲載ページにとびますので、興味のある方は御覧ください。
日本銀行 主要銀行貸出動向アンケート調査
https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/loos/index.htm/
資金需要について
1 資金需要動向
上記のアンケート調査でも最初に資金需要についてのグラフや表がたくさんあります。
折れ線グラフは上に向かっていれば増加していることを示しています。
アンケート調査の2Pのグラフを見ると、2008年~2009年のリーマンショックの直後の資金需要の急増(当時の理由は資金繰り悪化がメイン)からその後の反動減を乗り越え、少しずつ回復傾向が見えます。
直近では、中小企業は2015年に少し落ち込んでいますが、その後は緩やかに資金需要が伸びています。
2 資金需要の増加要因
アンケート調査の3Pに「資金需要が増加した要因は何か」という質問があります。
中小企業向けの数値を見れば、良い資金需要といえる「設備投資の拡大」の数値が高いため、経営者の投資マインドも少しずつ回復してきている傾向がうかがえます。
金融機関の融資姿勢
1 金融機関の貸出運営スタンスの現状
中小企業の資金需要の増加をふまえて、金融機関の融資姿勢はどうなっているか?
アンケート調査の6P、7Pに「金融機関の貸出運営スタンス」の関する質問があります。
折れ線グラフを見ると、中小企業に対する貸出スタンスがここ1年ほど積極化していることが伺えます。
逆に、ここ数年堅調だった個人向けについてはやや慎重化傾向が見えてきています。
※この場合の個人向けは住宅ローンや消費者ローンなどが含まれています
2 貸出運営スタンスの変化から感じること
個人向け融資については、低金利を背景とした住宅ローン需要、相続税対策を目的としたアパート・タワーマンションなどの需要、不動産賃貸でのサラリーマンオーナーの流行などから、これらの個人向け融資に力を入れてきた金融機関がたくさんあります。
しかし、不動産価格の高騰もあってか個人向けの融資姿勢を慎重化し、中小企業向けへの融資に再び力を入れ始めているという傾向を感じます。
まとめ
主要銀行貸出アンケート調査について見てきました。
個人向けについては慎重化の傾向もうかがえるため、注意する必要があります。
不動産の過熱感もあり、金融機関もリスクを感じ始めていることのあらわれかもしれません。
逆に中小企業向け融資は大企業と比較して利ザヤも取れるため、積極化傾向かと思います。
ただし、中小企業といってもかなり範囲が広く、格付けなどの信用力によって大きく対応は変わることが予想されます。
中小企業については、自分の会社を金融機関からきちんと見てもらえるように対応する必要があると思います。
「どういった対応をすれば良いか?」についてはまた機会を見て書いていきたいと思います。
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