節税or資金調達による事業拡大か
節税の影響
経営者の方(特に営業力があって利益を上げる方)のご相談で多いものが節税です。
「税金を正直に払ったらダメ」
「うまく節税しないと」
というアドバイスを受けて「税金を減らすこと」に注力しすぎる方もいます。
節税することによるマイナスの影響を教えてくれる方は少ないかもしれません。
1 決算書の利益が減る
節税には色々ありますが、基本的には利益を減らします。
利益に税率をかけて計算されるのが税金ですから、大元の利益を減らすことが税金を減らす早道です。
なので、何か節税を行うと決算書の利益が減ることになります。
次の項目に書ききますが「決算書の利益が減る=資金調達力が弱くなる」ことになります。
2 資金調達力が弱くなる
当たり前の話ですが、利益が多い会社と少ない会社のどちらが資金調達しやすいかというと利益の多い会社です。
その会社の借入限度額の目安として銀行が使用する数値に「簡易キャッシュフロー」があります。
具体的には
簡易キャッシュフローとは利益+減価償却費の合計になります。
そして借入限度額は簡易キャッシュフローの10倍程度が一つの目安になります。
つまり、利益を減らすことは自分の会社の借入限度額を減らす行為に他なりません。
3 キャッシュが減る
節税による、より直接的な影響はキャッシュが減ることです。
例えば、よく勧められる節税で「法人保険に入る」というものがあります。
保険に入ると節税金額以上に保険料を支払うことになりますので、その分のキャッシュは減ります。
また、積立保険であれば保険解約時はキャッシュが戻ってきます。
この場合、解約時に保険解約の利益が発生し、解約時の対策がなければ多額の税金が発生します。
保険による節税は資金繰りに問題がない会社でなければ、資金不足をまねいて事業に悪影響が出る可能性があります。
保険以外では、事業に必要なものに投資してキャッシュが減るのは良いのですが、人間の心理的に税金を減らすことばかり考え過ぎると無駄遣いが多くなりがちです。
その結果、減った税金以上に会社からキャッシュが出ていって資金が貯まらないということになりかねません。
まとめ
節税の影響と資金調達との関係について書いてきました。
個人商店であまり拡大する気持ちがない場合は上手く節税して、また、節税も兼ねて将来(老後)の資金積立を考えれば充分だと思います。
ですが、事業をどんどん拡大していきたい方、そのために銀行からの資金調達が必ず必要になるという方は下手な節税は事業の足をひっぱることになりかねません。
ご自身が経営者として目指している方針は様々かと思います。その方針によって取るべき選択肢は全く違うものになります。
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